Title: Shika wakashu [Book 3]
Author: Anonymous
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Note: We consulted Shinpen kokka taikan (Tokyo: Kadokawa Shoten, 1983, vol. 1) for reference.
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About the original source:
Title: Kokka taikan
Author: Anonymous
Publisher: Tokyo: Kadokawa Shoten, 1951



詞花和歌集卷第三

曾禰好忠

志ちず

山城の鳥羽田の面を見渡せばほのかにけさぞ秋風はふく




僧都清胤

津の國にすみ侍りけるころ大江爲基が任はてゝのぼり侍りければいひつかはしける


君すまばとはましものを津の國の生田の杜の秋のはつ風




橘元任

七月七日式部大輔資業がもとにてよめる


萩の葉にすがく糸をも小蟹は棚機にとや今朝は引くらむ




花山院御製

御ぐしおろさせ給ひて後七月七日よませたまひける


棚機に衣もぬぎてかすべきにゆゝしとや見む墨ぞめの袖




藤原顯綱朝臣

承暦二年内裏の歌合によめる


棚機に心はかすと思はねどくれゆく空はうれしかりけり




加賀左衛門

題志らず


いかなればとだえそめけむ天のがはあふせに渡す鵲の橋




左京大夫顯輔

新院のおほせごとにて百首の歌奉りけるによめる


あまの川よこぎる雲や棚機のそらだきものゝ烟なるらむ




大中臣能宣朝臣

寛和二年内裏の歌合によめる


おぼつかな變りや志にし天の川年に一たび渡る瀬なれば




修理大夫顯季

七夕をよめる


天の川たま橋急ぎわたさなむ淺瀬辿るも夜の更けゆくに




良暹法師

橘としつなのふし見の山庄にて七夕後朝のこゝろをよめる


逢夜とは誰かは志らぬ棚機の明くる空をも包まざらなむ




藤原顯綱朝臣


棚機のまちつる程のくるしさとあかぬ別と何れまされる




視部成仲

題志らず


天の川歸らぬ水を棚機はうらやましとや今朝はみるらむ




源順

三條太政大臣の家にて八月十五夜に水上月といふことをよめる


水清み宿れる月の影さへや千代まで君とすまむとすらむ




右大臣

題志らず


いかなれば同じ空なる月影の秋しもことに照り増るらむ




左衛門督家成

家に歌合し侍りけるによめる


春夏に空やは變る秋の夜の月しもいかで照りまさるらむ




三條院御製

月を御覽じてよませ給ひける


秋に又逢はむあはじも志らぬ身は今宵計の月をだにみむ




天臺座主明快

題志らず


ありしにもあらずなりゆく世中に變らぬ物は秋の夜の月




藤原重基

關白前太政大臣の家にてよめる


秋の夜の月の光のもる山は木の下かげもさやけかりけり




良暹法師

ひえの山の念佛にのぼりて月をみてよめる


天つ風雲ふきはらふ高嶺にているまで見つる秋の夜の月




源頼綱朝臣

京極前太政大臣の家の歌合によめる


秋の夜の月に心の隙ぞなきいづるをまつといるを惜むと




藤原朝隆朝臣

關白前太政大臣の家にて八月十五夜の心をよめる


ひくこまに影を並べて逢坂の關路よりこそ月はいでけれ




隆縁法師

左衛門督家成が家に歌合志りけるによめる


秋の夜のつゆもくもらぬ月をみておき所なきわが心かな




大江嘉言

月を待つこゝろをよめる


秋のよの月まちかねて思ひやる心いくたび山をこゆらむ




藤原忠兼

月浮山水といふ心をよめる


秋山の清水はくまじにごりなば宿れる月の曇りもぞする




花山院御製

寛和二年内裏の歌合によませ給ひける


秋の夜の月に心のあくがれて雲居にものを思ふころかな




源道濟

題志らず


ひとりゐて詠むる宿の荻の葉に風こそわたれあきの夕暮




大江嘉言


荻の葉にそゝや秋風吹きぬなりこぼれや志ぬる露の白玉




和泉式部


秋ふくはいかなる色の風なれば身にしむばかり哀なる覽




曾禰好忠


み吉野のきさ山蔭にたてる松いく秋風にそなれきぬらむ




藤原顯綱朝臣


荻の葉に露吹き結ぶ木枯のおとぞ夜寒になりまさるなる




源兼昌

霧をよめる


夕霧にこずゑも見えず初瀬山入あひの鐘の音ばかりして




赤染衛門

法輪へまうでけるにさが野の花おもしろくさきて侍りければ見てよめる


秋の野の花見る程の心をば行くとやいはむ止るとやいはむ




&bai;子内親王

賀茂のいつきときこえて侍りける時本院のすいがきにあさがほの花咲きかゝりて侍りけるをよめる


神垣に懸かるとならば朝顏もゆふかくる迄匂はざらめや




隆源法師

堀河院の御時百首の歌奉りけるによめる


主やたれきる人なしに藤袴見れば野毎にほころびにけり




周防内侍

白河院、鳥羽殿にて前栽あはせせさせ給ひけるによめる


朝な/\露重げなる萩がえに心をさへもかけて見るかな




敦輔王


荻の葉に言問ふ人もなき物を來る秋毎にそよとこたふる




曾禰好忠

題志らず


秋の野の草むらごとにおく露はよるなく虫の涙なるべし




永源法師


八重葎しげれる宿は終夜むしの音聞くぞとりどころなる




和泉式部


鳴く虫の一つ聲にも聞えぬはこゝろ/\にものや悲しき




橘爲仲朝臣

みちの國の任はてゝのぼり侍りけるに尾張國鳴海野に鈴虫の鳴きはべりけるをよめる


古里にかはらざりけり鈴虫のなるみの野邊の夕暮のこゑ




橘正通朝臣

天禄三年女四の宮の歌合によめる


秋かぜに露をなみだとおく虫の思ふ心をたれにとはまし




大藏卿匡房

駒迎をよめる


逢坂の杉間の月のなかりせばいくきの駒と爭でしらまし




出羽辨

永承五年一の宮の歌合によめる


きく人のなどか安からぬ鹿の音は我妻を社こひて鳴くらめ




藤原伊家

題志らず


秋萩を草のまくらに結ぶ夜はちかくも鹿の聲をきくかな




新院御製

九月十三夜に月照菊花といふ事をよませ給ひける


秋ふかみ花には菊の關なれば下葉に月も漏りあかしけり




源雅光

關白前太政大臣の家にてよめる


霜がるゝはじめと見ずば白菊の移ろふ色を歎かざらまし




道命法師

題志らず


今年又咲くべき花のあらば社移ろふ菊にめがれをもせめ




曾禰好忠


草枯の冬まで見よと露霜のおきて殘せるしらぎくのはな




堀河右大臣

宇治前太政大臣白河にて見行客といふ事をよめる


關こゆる人にとはゞや陸奥の安達のまゆみ紅葉しにきや




橘能元

武藏國より上り侍りけるに三河國二むら山の紅葉を見てよめる


いくらとも見えぬ紅葉の錦哉たれ二むらの山といひけむ




大藏卿匡房

寛治元年太皇太后宮の歌合によめる


夕されば何か急がむもみぢ葉の下てる山は夜も越えなむ




曾禰好忠

題志らず


山里は往來の道も見えぬまで秋の木の葉に埋もれにけり




道命法師

春より法輪寺に籠りて侍りける秋大井河に紅葉のひまなく流れけるをみてよめる


春雨のあやおりかけし水の面に秋はもみぢの錦をぞしく




源俊頼朝臣

雨後落葉といふ事をよめる


名殘なく時雨の空は晴れぬれどまたふる物は木の葉也鳬




平兼盛

月の明き夜紅葉の散るをみてよめる


荒果てゝ月もとまらぬ我宿に秋の木の葉を風ぞふきける




藤原惟成

一條攝政の障子に網代に紅葉のひまなくよりたるかたかきたる所によめる


秋深み紅葉おちしく網代木は氷魚のよるさへ赤くみえ鳬




大中臣能宣朝臣

初霜をよめる


初霜も置にけらしな今朝見れば野邊の淺茅も色付きに鳬




前大納言公任

雨中九月盡といふ事をよめる


何方へ秋のゆくらむわが宿に今宵ばかりはあま宿りせよ